Harpsichordist TOMOKO MATSUOKA
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          イタリア便り
 
2011.4.19 N.39
「チャリティーコンサート@ミラノ」


ミラノで日本のためのチャリティーコンサートが親しい古楽仲間によって企画され、今月10日に実現しました。 北イタリアに住む古楽演奏家の日本人14人(声楽5、器楽9)がミラノ、パヴィア、クレモナ、ヴィチェンツァ、ヴェネツィア、ウディネから参加し、 モンテヴェルディの声楽曲を中心に、1時間の演奏会を行いました。

演奏者が各地から集まったので、主に前日と当日で集中的にリハーサルを行い、ゆっくり準備することはできませんでしたが、 皆で心を込めて音楽を紡ぐことができたと思います。無償で貸していただいた教会はミラノの中心部の閑静なアパート街に位置し、 当日は、用意したプログラムや椅子が足りなくなるほどのお客さんで、小さな教会は150人以上の聴衆でいっぱいになりました。

想像以上のお客さんに、日本赤十字への募金もよく集まり、私はCDの売り上げも募金しました。決して巨額の寄付ではありませんが、 それでも日本から遠く離れたイタリアで、日本人として、日本に家族がいるものの一人として、音楽を通じて何らかの働きかけができたことは、 かけがえのない経験でした。企画してくれた方々、無償で教会や楽器を貸してくれた方々、またポケットマネーで楽器の運搬の手配してくれた方など、 そして聴きにきてくれた多くの皆さんに感謝いたします。

私たちの演奏会の1週間前の日曜日には、ピアチェンツァの国立音楽院で「東日本大震災の被災者に思いを寄せて」というチャリティーコンサートがあり、 聴きにいきました。プログラムはほとんどが日本人作曲家によるもので、武満のフルートソロの作品や、山田耕作の歌の数々、 途中で宮沢賢治(岩手の花巻市出身なんですね)の詩の朗読が日本語とイタリア語で行われるなど、とても工夫されたプログラムで、すばらしい演奏会でした。

日本文化の紹介という意味でもとてもよかったと思いますが、日本人にとっても大変重みのある、感動的な会でした。 「赤とんぼ」が朗々と美しい声で歌われたときには、涙がぽろぽろこぼれました。私が11年間住んだイタリアで、日本の懐かしい歌を聴き、 イタリア人の聴衆とともにある日突然大震災に見舞われた日本を思い・・・いろいろなことに思いを馳せた1時間45分でした。

これからも長い道のりになるとは思いますが、一日も早い復興を祈っています。

 
 

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