Harpsichordist TOMOKO MATSUOKA
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          イタリア便り
 
2008.6.22 N.5
「ミラノの夜」

ふわぁっと浮かんだ音に、おもわず笑顔にさせられる・・・。
そんなやさしさに包まれた至福の時間でした。

最近、なかなか演奏会に行く余裕がなかったのですが、昨夜、久しぶりに イタリアの古楽アンサンブル「アカデミア・ビザンティーナ」の演奏会に 行ってきました。

ちょうど夏至だった夜の9時、まだ明るいなか、ミラノの中心にある パラッツォ・リッタの大きな中庭で始まった音楽会は、コレッリのコンチェルト から始まり、ヘンデルのコンチェルト・グロッソ、途中、上空を飛び交う鳥たちの さえずりを聞きながら、ジェミニアーニのコンチェルト・グロッソ「ラ・フォッリーア」、 休憩は無しで、ヴィヴァルディのコンチェルト2曲、そして最後にバッハの 2台ヴァイオリンのためのコンチェルトで締めくくられました。

イタリア音楽らしい、楽しく快活な印象がとても気持ちよく、またゆっくりの 楽章の豊かな歌には、本当に体がほぐれるような感じでした。 鳥肌が立つような突然のピアノもスリルがありました。 第一と第2ヴァイオリンの掛け合いは、見ていても面白く、演奏者同士が お互いを見合って、笑顔で会話を楽しんで弾いている様子は、本当に 素敵でした。 バッハのコンチェルトニ短調の2楽章は、あまりにきれいなヴァイオリンの 音色に、目が熱くなりました。

イタリアの演奏会でよく感じるのですが、演奏者が心から音楽を楽しんでいる のが、本当に伝わってくるんですね。聴衆も自然と笑顔になる。

抜群のテクニックと音楽性に、遊び心たっぷりの、宝物のような音楽を 全身で満喫して、今ここにいて良かったぁ、音楽って体にいいなぁと思いました。 私が演奏するときにも、一人でも多くの人に笑顔を届けられたらいいな、 と思います。


 
 

バックナンバー
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