Harpsichordist TOMOKO MATSUOKA
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          イタリア便り
 
2010.2.17 N.26
「カンプロドン」


日曜日、バルセロナからバスに揺られて2時間、フランスとの国境に近いカンプロドンという小さな街に行ってきました。
ピレネー山脈のカンプロドン渓谷の中にあり、ちょっと調べたら標高988メートルだそうです。 どおりで、日中もマイナス1度で、日陰には雪が残っていました。

山岳地帯なので、スキーや自転車などのスポーツや登山などで知られる地域のようですが、 私はバルセロナの合唱団「オルフェオ・カタラ」の演奏会の追っかけで行きました。私の彼が合唱団で歌っているので、 演奏会には付き添いということで、事前に連絡をすると一緒に行くことができます。

1891年に設立されたオルフェオ・カタラは、カタルーニャで最もよく知られる合唱団で、 カタルーニャ・ルネサンス(文芸復興運動)において指導的役割を果たしました。 ユネスコの文化遺産にも登録されている、バルセロナにあるコンサートホール「カタルーニャ音楽堂」は、 オルフェオ・カタラ合唱団のために1905-08年に建設されたと知り、驚きました。

カンプロドン、サンタマリア教会での演奏会は、前半は、合唱団指揮者ジョセフ・ビラ氏の作品から始まり、 他カタルーニャの20世紀の作品、後半はレオンカヴァッロ、ヴェルディ、ビゼ、ヴァーグナー、 チャイコフスキーのオペラ作品からの合唱でした。

混声約80人の合唱団ですが、この日の参加者は50人ほど。それでもバロック教会いっぱいに響き渡る歌声は、 大変美しく素晴らしかったです。アンコールのうちの一曲は、カタルーニャの州歌のことが多いのですが、 これが始まると、聴衆は一斉に起立し、皆が一つになって歌うのです。あのすごいエネルギーには、 いつも感動すると共に、カタルーニャの深い歴史など、いろいろ考えさせられます。

さて、演奏会は17時半からでしたが、私たちは13時ごろ現地に到着、ホテルでの昼食は14時からでしたので、 それまで街のメインストリートをそぞろ歩きして、あまりに寒いので、喫茶店で熱い紅茶をいただき、 絵葉書を買ったりしました。私は、絵葉書とか手紙とか、受け取るのも書くのもとても好きなので、 どこかに行くたびに、よく絵葉書を書きます。
昔、海外から手紙や絵葉書が届くと、本当にわくわくしたものでした。

20ユーロの昼食は、大変おいしいコース料理で、ワインは白・赤・ロゼと揃い、 最後のコーヒーまでたっぷり2時間かけて楽しみました。これだけたらふく飲んで食べた直後にリハーサル、 そして本番と歌う団員もすごいなぁと思いましたが、みんな、その時その場所で人生を楽しんでいる風で、 それでいいのか、と思いました。
私も、一日楽しませてもらいました。

 
 

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