Harpsichordist TOMOKO MATSUOKA
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古楽情報誌アントレ 2008年6月号

The Report 4月26日〜27日 甲府市
第22回古楽コンクール<山梨>
関根敏子(音楽学)

松岡友子チェンバロリサイタル


例年は昨年の受賞者コンサートが開かれるが、今年は第17回古楽コンクール <山梨>で第2位(2003)、そして昨年の第44回ブルージュ国際コンクールで 第3位(2007ベルギー)を獲得した松岡友子のリサイタルが開催された。

プログラム
フローベルガー :トッカータ第3番ト長調(1649)
           組曲ハ長調FbWV612(1656)
ブクステフーデ :クーラント・サンプルBuxWV245
J.ゲムロット :チェンバロのための戯れ(2005)
D.スカルラッティ:ソナタ K.1.2.3.208.209.212.462.463.

楽器は前半がイタリアン(スコヴロネック)、後半がフレンチ(RYO YOSHIDA) 1998年に都留音楽祭で曽根麻矢子氏の講習を受けチェンバロに魅了され、高校 卒業後すぐイタリアに留学。スカルラッティの権威であるファディーニ氏に 師事するとともにヨーロッパ各地での音楽アカデミーに参加、現在はヨーロ ッパで演奏活動をしているだけに、自分の音楽をしっかりともっている。

(写真:松岡友子氏のチェンバロリサイタル)

特にプログラム後半で演奏したチェコの現代曲は、たっぷりと豊かな音に あふれていた。楽譜をしっかりと読み込んで仕上げ、イタリアのコンクールで 現代音楽特別賞を得ているだけに、とても音楽的で、楽器もよく鳴っていた。 スカルラッティ6曲では、まさに自由自在に楽しんでいるように思えた。筆者は、 昨年の東京で催されたスカルラッティ音楽祭で松岡の師であるファディーニ氏の 演奏を聴き、奇をてらうことのない、それでいて実に音楽的な解釈に驚いた経験 がある。松岡の演奏も、決して派手ではないが、イタリアやスペインの明るい 陽光に満たされている。特に最後のアンコールで使用したイタリアンチェンバロ は、輝かしいスカルラッティの演奏とぴったりあっていた。